6/20(金)エイジア@渋谷公会堂

エイジアの来日公演最終日に行ってきました。

2006年にオリジナル・メンバーで再結成。2007年、2008年、2010年、2012年と来日するも、2012年のXXXツアーを最後にギターのスティーヴ・ハウが脱退。1982年の『ASIA(詠時感)』発売時点では生まれてすらいなかった20代の若手ギタリスト、サム・コールソンを後任に迎えます。『Gravitas(グラヴィタス~荘厳なる刻)』を発表し、今回の来日公演となりました。

エイジアの再結成は、オリジナル・メンバー4人が揃ったことにこそ意味があったので、そういった意味ではスティーヴ・ハウの脱退は残念でした。とはいえサウンド的には噛み合っていない感があったので、ギタリスト変更によってどうサウンドが変化するのか楽しみでした。

前回、2012年の来日公演は『XXX』を発表後初のライブが日本公演、しかも初日に行ったのでセットリストがどうなるのかまったくわからなかったのですが、今回は来日公演の前に英国公演が2日あり、しかも名古屋、大阪に続く東京公演の2日目だったので、どんなセットリストになるのか事前にわかっていました。

ステージ上のセットはいつも通りです。カール・パーマーは青く透き通ったドラムセット。海外公演の写真ではこのドラムセットは見ないので日本に置いてあるものだと思われます。銅鑼があるのがうれしい。ジェフ・ダウンズのキーボードも日本の楽器メーカーが用意したものみたいですね。ジェフがTwitterでこれから4公演で使うキーボードセットだと紹介していました。

座席は9列16番。サム・コールソン側です。2年前の来日公演もスティーヴ・ハウ側だったので似た位置に座った記憶があります。

ASIA
John Wetton (Vocal, Bass, Guitar)
Geoffrey Downes (Keyboards, Chorus)
Carl Palmer (Drums)
Sam Coulson (Guitar)

セットリスト
01. Sole Survivor
02. Wildest Dreams
03. Face On The Bridge
04. Time Again
05. Valkyrie
06. I Know How You Feel (John Wetton & Geoffrey Downes Duo)
07. Voice Of America (Acoustic Version)
08. The Smile Has Left Your Eyes (Parts I & II)
09. An Extraordinary Life
10. Gravitas
11. Bolero (Geoffrey Downes Keyboard Solo)
12. Days Like These
13. Go
14. Don't Cry
15. Drum Solo
16. Only Time Will Tell
17. Open Your Eyes

アンコール
18. Heat Of The Moment

開演予定時刻の19:00にブザーが鳴り、ロビーに居る人は座席に戻ってくださいとアナウンス。19:05頃客殿が落ち、チャイコフスキーの「1812 Overture」が鳴り響きます。クラシック曲なのに大きな音なので、若干音が割れ気味。

メンバーが登場し「Sole Survivor(孤独のサヴァイヴァー)」で幕を開けました。さっそくのコール&レスポンスに会場は盛り上がりますが、お客さんは立ちません。名古屋、大阪は1曲めからオールスタンディングだったのに、東京のお客さんは結局「Don't Cry」か「Drum Solo」あたりまで立ちませんでした。

セットリストは英国初日から「My Own Time」「Guitar Solo」がカットされ、「Bolero」が追加された形になります。名古屋だけ「Bolero」がなかったものの、他の3日間はすべて同じ。2012年の来日公演は日替わりでしたが、2010年の来日公演はセットリスト変化なしだったそうなので、2010年と似た形だったことになります。

そういえば「Sole Survivor」と「Wildest Dreams」の2曲はジョン・ウェットンは帽子をかぶってました。

一時期はジョン・ウェットンといえば、今日は声が出てる/出てないという話が必ずつきまとっていましたが、ここ数年は絶好調で(2011年のU.K.を除く)、今回もすばらしく伸びのある美声を聴かせてくれました。

新譜からは「Valkyrie」「Gravitas」の2曲を演りました。現役バンドとしては新曲をたくさん演ってほしいという気持ちもあるものの、実際問題としてやっぱり『詠時感』の曲のほうがいい曲だし盛り上がります。新譜の曲はインスト部分にプログレ的な展開がないので聴いていてちょっと退屈だというのが正直な感想。

「I Know How You Feel」は2012年と同じく、ジェフ・ダウンズのキーボードをバックにジョン・ウェットンが歌います。「Voice Of America」は2008年の来日公演ではジョン・ウェットンの弾き語りでしたが、今回はジェフ・ダウンズのキーボード、サム・コールソンのアコースティック・ギター、カール・パーマーのハイハットとタンバリン付き。6月20日はブライアン・ウィルソンの誕生日ということで、何か特別なMCが聴けるかと期待していましたが何もありませんでした(^^; 「The Smile Has Left Your Eyes」はウェットンとダウンズのデュオで始まり、後半4人での演奏になるヴァージョン。

ジェフ・ダウンズのキーボード・ソロは初めて聴きました。「Cutting It Fine」の後半部分で、ライブアルバムなどでは「Bolero」とタイトルが付いている曲です。聴き慣れた曲なのでキーボード・ソロでも充分楽しめました。

後半はスティーヴ・ハウがいないので『THEN & NOW』から「Days Like These」や『ASTRA』から「Go」が登場。うれしい選曲ではあるのですが、どちらもオメガ・ツアーでスティーヴ・ハウ入りで演っているのですよね。どうせならもっとセットリストで冒険して欲しかったです。

「Don't Cry」はエレクトリック・バージョン。2007年は4人でアコースティック・バージョン、2010年と2012年はジョン・ウェットンとジェフ・ダウンズのデュオだったので、エレクトリック・バージョンで披露するのは2008年以来となります。とはいえ、2008年の私が行った日は「Don't Cry」を演らなかったのですが。

カール・パーマーのドラムソロはワンパターンで、いつ見ても同じような展開なのですが、それでも盛り上がりますね。音楽的というよりはエンターテイメント的なドラムソロだと思います。

「Only Time Will Tell(時へのロマン)」「Open Your Eyes」で本編終了。アンコールで「Heat Of The Moment」。20:50頃終演でしたので、1:45ほどのステージでした。

肝心のギターがサム・コールソンになってサウンドがどう変化したかですが、すごく演奏がタイトになった印象があります。実際のBPMはそんなに違いないのかもしれませんが、演奏に勢いを感じます。これまではカール・パーマーのはしるリズムと、スティーヴ・ハウのもたるリズムが噛み合っていなかったのかなと思いました。ですが、サム・コールソンはスティーヴ・ハウのフレーズや音色をコピーしないので、脳内で鳴っている音と違和感を感じる場面もありました。