キング・クリムゾン来日公演(2018年)のセットリスト予想

10月29日のボーンマス公演よりキング・クリムゾンの秋冬ツアーが始まりました。

当初は初夏ツアーと同じ「Uncertain Times Tour 2018」と題されていましたが、トニー・レヴィンのロード・ダイアリーによると「Meltdown Tour」に名前が変わったようです。グッズ等は変更が間に合わないので「Uncertain Times Tour 2018」と記されていると思います。

この記事では10月28日のFriends & Family Showから11月17日のパリ公演までのセットリストから来日公演で演奏される曲を予想したいと思います。

演奏される可能性:100%

「Court Suite」

  • Moonchild
  • Bass, Guitar & Piano Cadenzas
  • The Court Of The Crimson King

 「Lizard Suite」

  • Cirkus
  • Borelo
  • Dawn Song
  • Last Skirmish
  • Prince Rupert's Lament

「Radical Suite」

  • Radical Action (To Unseat The Hold Of Monkey Mind)
  • Meltdown
  • Radical Action II
  • Level Five

現在のキング・クリムゾンのコンサートは3つの組曲(Suite)がメインになっていると言っても過言ではありません。

1つ目は「Court Suite」。『In The Court Of The Crimson King』(1969年)のB面を再現した組曲です。「Moonchild」の後半のインプロヴィゼーション部分は、トニー・レヴィンのベースソロ、ジェレミー・ステイシーのピアノソロに置き換えられています。11月12日のグラスゴー公演からロバート・フリップのギターソロも加わりました。今回の秋冬ツアーから「The Court Of The Crimson King」のコーダがスタジオバージョンのようにリプライズまで演奏されるようになりました。この点も注目です。

2つ目は「Lizard Suite」。『Lizard』(1970年)のA面1曲目「Cirkus」とB面の組曲Lizard」より「Borelo」「Dawn Song」「Last Skirmish」「Prince Rupert's Lament」の4曲が続けて演奏されます。初夏ツアーでは組曲Lizard」からは1曲だったり2曲だったり3曲だったり4曲だったりと公演によって異なりましたが、秋冬ツアーでは必ず4曲すべてが演奏されています。

3つ目は「Radical Suite」。『The Power To Believe』(2003年)の2曲目の「Level Five」と、トリプルドラム編成になってからの新曲3曲で構成されています。この組曲は2015年の来日公演でも全ての公演で演奏されたので覚えていらっしゃる方も多いと思います。

当初は「Radical Action III」という新曲がありましたが、11月2日のロンドン公演を最後にセットリストに載らなくなりました。これは「Radical Action III」を演奏しなくなったというわけではなく、実質「Radical Action」の変奏曲なのでわざわざセットリストに「Radical Action III」と書かなくなったと私は判断しています。

  • Starless

2014年の活動再開以降「Starless」は全ての公演で演奏されています。来日公演でも全ての公演で演奏されるでしょう。

演奏される可能性:90%

  • Islands
  • Discipline
  • Indiscipline
  • Neurotica

「Discipline」「Indiscipline」は秋冬ツアーでは14公演すべてで演奏しています。ただし初夏ツアーも含めた2018年全体で見た場合、演奏されていない日もあるので100%ではなく90%にしました。

「Islands」「Neurotica」は秋冬ツアーでは14公演中13公演で演奏しています。

演奏される可能性:80%

  • Epitaph
  • Easy Money
  • Larks' Tongues In Aspic, Part Two

「Epitaph」は秋冬ツアーでは14公演中12公演で演奏しています。

「Easy Money」「Larks' Tongues In Aspic, Part Two」は秋冬ツアーでは14公演中11公演で演奏しています。

演奏される可能性:70%

  • 21st Century Schizoid Man
  • Suitable Grounds For The Blues

「21st Century Schizoid Man」「Suitable Grounds For The Blues」は秋冬ツアーでは14公演中10公演で演奏しています。

「21st Century Schizoid Man」は昨年までは2回の特別な例外を除いて必ず演奏されていましたが、今年になって演奏頻度が下がりました。

今回の来日公演が人生で初めての(そして唯一の)キング・クリムゾンのライブになる人がもしこの曲を聴けなかったら残念です。

ただしこの曲がセットリストに含まれていなくても、盛り上がればダブルアンコールで演奏してくれるかもしれません。実際に11月2日のロンドン公演では予定になかったこの曲をダブルアンコールで演奏しています。

「Suitable Grounds For The Blues」は今年になってイントロにジェレミー・ステイシーによるピアノソロが付きました。

演奏される可能性:60%

  • One More Red Nightmare

「One More Red Nightmare」は秋冬ツアーでは14公演中9公演で演奏しています。

「One More Red Nightmare」は2017年はセットリストから外れていましたが、今年になって復活した曲です。2015年の来日公演では東京公演でしか演奏されませんでした。今回は比較的高い頻度で演奏されているので地方でも演奏されるかもしれません。

演奏される可能性:50%

  • Cadence And Cascade
  • Larks' Tongues In Aspic, Part One

「Cadence And Cascade」「Larks' Tongues In Aspic, Part One」は秋冬ツアーでは14公演中6公演で演奏しています。

「Cadence And Cascade」は今年に入ってレパートリーに追加されましたが演奏頻度は高くありません。

演奏される可能性:40%

  • The Letters

「The Letters」は秋冬ツアーでは14公演中4公演で演奏しています。

演奏される可能性:30%

  • Red

「Red」は秋冬ツアーでは14公演中3公演で演奏しています。

今年になって「Red」のドラムアレンジが変更されました。2015年の来日公演で「Red」を聴いた人も新鮮な気持ちで聴けると思います。

演奏される可能性:20%

  • Pictures Of A City
  • Peace: An End
  • The ConstruKction Of Light
  • Larks' Tongues In Aspic (Part IV)

「Pictures Of A City」「Peace: An End」「The ConstruKction Of Light」「Larks' Tongues In Aspic (Part IV)」は秋冬ツアーでは14公演中2公演で演奏しています。

「Peace: An End」は2015年の来日公演ではジャッコが1番を日本語の歌詞で歌いました。今回も日本語の歌詞で歌うのか、最近のアレンジ通りに1番はギターがメロディーを弾くのか注目です。

「Larks' Tongues In Aspic (Part IV)」は今年になってレパートリーに追加されました。初夏ツアーでは高い頻度で演奏されましたが秋冬ツアーでは演奏頻度が下がっています。ちなみに「Coda: I Have A Dream」は演奏されていません。

演奏される可能性:10%

  • Sailor's Tale
  • Fallen Angel
  • Breathless
  • The Errors

「Sailor's Tale」「Fallen Angel」は秋冬ツアーでは14公演中1公演で演奏しています。

「Breathless」「The Errors」は秋冬ツアーでは1回も演奏されませんでしたが、初夏ツアーで3回演奏されており来日公演でもやる可能性があると判断して0%?ではなく10%としました。

演奏される可能性:0%?

  • The Talking Drum
  • Exiles
  • Fracture
  • Heroes
  • VROOOM
  • A Scarcity Of Miracles
  • The Light Of Day

これらの楽曲は今年のツアーでは"ほぼ"演奏されていません。「Fracture」は6月12日のFriends & Family Showと6月13日のポズナン公演で演奏されましたが、その後再び封印されています。

来日公演でやる可能性は低いと思っておいた方がいいでしょう。

ですが11月16日のパリ公演で今年一度も演奏していなかった「Sailor's Tale」が突然復活したように何が起こるかわかりません。予想外のことが起こることに期待しています。

キング・クリムゾン「Uncertain Times European Tour 2018」のセットリスト

2018年6月13日ポズナン公演から始まった初夏ツアーが2018年7月28日ヴェニス公演で終わりました。(2018年6月12日に行われたフレンズ&ファミリーショウを含めて)全32公演のセットリストを振り返ってみたいと思います。

ツアーは2018年10月29日ボーンマス公演から再開され、イギリスで6公演、フランスで2公演を行った後、2018年11月27日には日本にやってきます。

「Uncertain Times European Tour 2018」で披露された曲一覧

『In The Court Of Crimson King』(1969年)から4曲

  • 21st Century Schizoid Man
  • Epitaph
  • Moonchild
  • The Court Of The Crimson King

『In The Wake Of Poseidon』(1970年)から3曲

  • Pictures Of A City
  • Cadence And Cascade
  • Peace - An End

Lizard』(1970年)から5曲

  • Cirkus
  • Bolero
  • Dawn Song
  • Last Skirmish
  • Prince Rupert's Lament

『Islands』(1971年)から2曲

  • The Letters
  • Islands

『Larks' Tongues In Aspic』(1973年)から3曲

  • Larks' Tongues In Aspic, Part One
  • Easy Money
  • Larks' Tongues In Aspic, Part Two

『Starless And Bible Black』(1974年)から1曲

  • Fracture

『Red』(1974年)から4曲

  • Red
  • Fallen Angel
  • One More Red Nightmare
  • Starless

ロバート・フリップのソロアルバム『Exposure』(1979年)から1曲

  • Breathless

『Discipline』(1981年)から2曲

  • Discipline
  • Indiscipline

『Beat』(1982年)から1曲

  • Neurotica

『The ConstruKction Of Light』(2000年)から2曲

  • The ConstruKction Of Light
  • Larks' Tongues In Aspic (Part IV)

『The Power To Believe』(2003年)から1曲

  • Level Five

トリプルドラムのみの曲

  • Hell Hounds Of Krim
  • Devil Dogs Of Tessellation Row
  • Fairy Dust Of The Drumsons

現編成での新曲(歌モノ)

  • Meltdown
  • Suitable Grounds For The Blues
  • The Errors

現編成での新曲(インストゥルメンタル

  • Radical Action (To Unseat The Hold Of Monkey Mind)
  • Radical Action II
  • Radical Action III

その他の小品

  • Bass & Piano Cadenzas
  • Interlude

新たに加わったレパートリー

今年のツアーから新たに加わったレパートリーが4曲あります。KCクラシックスが「Cadence And Cascade」「Bolero」「Larks' Tongues In Aspic (Part IV)」の3曲、そして新曲の「Radical Action III」です。

2017年6月11日シアトル公演で初披露され『Live In Chicago』に収録されている歌モノ新曲の「The Errors」が「Radical 3」とセットリストに記載されていた時期がありました。

今年になって披露された「Radical Action III」もセットリストには「Radical 3」と同じ表記なものの全く別のインストゥルメンタルの新曲です。

復活したレパートリー

2017年6月19日メキシコシティ公演を最後に約1年間演奏されていなかった「Fracture」が復活しましたが、2018年6月12日のフレンズ&ファミリーショウと2018年6月13日ポズナン公演で演奏されただけで、その後は再び演奏されていません。

2016年10月3日ハンブルグ公演を最後に約1年半演奏されていなかった(2017年は1回も演奏されなかった)「One More Red Nightmare」が復活しました。こちらは全32公演中17公演と比較的高い頻度で演奏されています。

演奏されなくなったレパートリー

2017年ツアーで演奏されていた「Sailor's Tale」「The Talking Drum」「VROOOM」「Heroes」の4曲は今年のツアーでは1度も演奏されませんでした。

また2017年ツアーで既に演奏されなくなっていた「A Scarcity Of Miracles」「The Light Of Day」も復活しませんでした。

演奏頻度が高かった曲

「Starless」と「Level Five」は32公演すべてで演奏されました。

「Indiscipline」は2018年6月12日のフレンズ&ファミリーショウを除く31公演で演奏されました。

「The Court Of The Crimson King」は2018年6月18日クラコフ公演を除く31公演で演奏されました。

「Cirkus」は2018年7月10日オスロ公演を除く31公演で演奏されました。ただし同公演の第1部はトニー・レヴィンのロード・ダイアリーにセットリストの写真が載っておらず不完全なものとなっており、実際は演奏された可能性もあります。

組曲Lizard」について

アルバム『Lizard』(1970年)のB面を占める「Lizard」は「Prince Rupert Awakes」「Borelo」「Dawn Song」「Last Skirmish」「Prince Rupert's Lament」「Big Top」の6曲からなる組曲です。

2016年ツアーでは「Dawn Song」のみが演奏されました。2017年ツアーでは「Dawn Song」「Last Skirmish」「Prince Rupert's Lament」の3曲がメドレーで演奏されました。

2018年ツアーでは新たに「Borelo」がレパートリーに加わったのですが、レパートリーに含まれる4曲すべてが必ず演奏されるわけではなく、公演ごとに演奏される曲が異なります。

実際にはどの曲が演奏されたのか。トニー・レヴィンのロード・ダイアリーに掲載されているセットリストの写真から調べてみました。

Lizard」が演奏されたのは7月3日ベルリン公演を除く全32公演中31公演。ただし6月26日のプラハ公演はセットリストの写真が低解像度のため判別できず、7月10日オスロ公演はセットリストの写真が第2部しか写っておらず不明となります。

  • 「Borelo」「Dawn Song」「Last Skirmish」「Prince Rupert's Lament」の4曲を演奏:12公演
  • 「Borelo」「Dawn Song」「Last Skirmish」の3曲を演奏:3公演
  • 「Dawn Song」「Last Skirmish」の2曲を演奏:5公演
  • 「Last Skirmish」のみ演奏:2公演
  • 「Borelo」のみ演奏:7公演
  • 不明:2公演

曲ごとに集計すると以下のようになります。

  • 「Borelo」22公演
  • 「Dawn Song」20公演
  • 「Last Skirmish」22公演
  • 「Prince Rupert's Lament」12公演

「21st Century Schizoid Man」の演奏頻度の低下

2014年に現編成で活動再開して以降、2回の例外(2015年11月19日トロント公演と2017年11月2日フィラデルフィア公演)を除いてほぼ全公演で演奏されてきた「21st Century Schizoid Man」ですが、今年のツアーでは32公演中23公演と演奏頻度が下がっています。

演奏頻度が低かった曲

「Interlude」が2018年6月21日エッセン公演の1回だけで最も少ないです。ただしこの曲はメル・コリンズとジャッコ・ジャクスジクのダブルフルートに、トニー・レヴィンのエレクトリックアップライトベースロバート・フリップのギターが音を薄く重ねる程度の小品であり、この曲を聴きたい(あるいは聴けなくて残念だった)という人はほとんどいないでしょう。

次に少ないのが「Fracture」の2回。「Breathless」「The Errors」の3回。「The Letters」「Fairy Dust Of The Drumsons」の4回、「Fallen Angel」「The ConstruKction Of Light」の6回となります。

setlist.fmを見ると「Drumsons Of ~」という曲がたくさん並んでいますが、これは"トリプルドラムがなにかする"といった程度の意味合いで実際に演奏された曲名ではありません。実際に演奏されたのは「Hell Hounds Of Krim」「Devil Dogs Of Tessellation Row」「Banshee Legs Bell Hassle」「Fairy Dust Of Drumsons」などであると思われます。

キング・クリムゾン『The Elements 2018 Tour Box』

2018年6月13日のポーランド公演を皮切りに今年もキング・クリムゾンのツアーが始まりました。それに伴って毎年恒例のツアーボックスも発売されました。

キング・クリムゾンは2014年の活動再開以降、毎年ツアーボックスをリリースしています。

アーボックスがどんなものかご存じない方のために簡単に説明すると"キング・クリムゾンの初出、初CD化音源を含む2CDレア音源集"です。

Disc 1

  1. Wind (extract)
  2. The Court of the Crimson King (Instrumental edit section)
  3. The Court of the Crimson King (Live 2015)
  4. Groon (Take 6)
  5. Cirkus (Live 2017)
  6. Formentera Lady (Live 1972)
  7. Larks' Tongues In Aspic Part I (Live 2016)
  8. Doctor Diamond (Live 1973)
  9. Red (Live 2016)
  10. Discipline (Jakko Jakszyk/Gavin Harrison Demo recordings)
  11. Neurotica (Live 2017)
  12. Funky Jam
  13. The Errors (Demo)
  14. Larks' Tongues In Aspic Part IV (Guitar highlighted)
  15. Heroes (Radio Edit)

Disc 2

  1. The Deception of the Thrush (Guitar extract)
  2. A Scarcity of Miracles (Live 2015)
  3. Prelude: Song of the Gulls (Rehearsal Take)
  4. Cadence & Cascade (Jakko Jakszyk vocal)
  5. Book of Saturday (Alt. take 1973)
  6. Dawn Song (Jakko Jakszyk vocal)
  7. Interlude (Live 2017)
  8. Matte Kudasai (Live 1984)
  9. Spenta's Counter Claim (Live 2016)
  10. The Night Watch (extract)
  11. Walking on Air (Live 1995)
  12. Peace (Live 2015)
  13. Islands (Live 2017)
  14. Starless (extract from multi-tracks)
  15. The Deception of the Thrush (Live 1998)
  16. I Talk to the Wind (duo version 1969)

「Wind (extract)」

毎回ツアーボックスは30秒程度のこの抜粋音源から始まります(抜粋箇所は毎回異なる)。『In The Court Of The Crimson King』(1969年)で「21st Century Schizoid Man」のイントロに使われたノイズ音を録音したセッションからの抜粋。クレジットによるとイアン・マクドナルドがパイプ・オルガンを弾いているとのこと。『In The Court Of The Crimson King』40周年記念盤(2009年)に4分31秒の長尺バージョンが収録されています。

「The Court of the Crimson King (Instrumental edit section)」

『In The Court Of The Crimson King』(1969年)収録曲のインストゥルメンタルバージョン。55秒ほどの音源。この曲は1番から4番までありますが1番のみ。イントロは収録されておらず、歌のバッキングのギターから始まり、"The purple piper plays his tune"と歌われる部分でフルートが絡み、サビになるとベースとドラム、メロトロンなどが加わります。演奏は完成版と同じテイクだと思われます。初出。

「The Court of the Crimson King (Live 2015)」

『In The Court Of The Crimson King』(1969年)収録曲のライブ音源。2015年の来日公演を収録した3CD/2DVD/Blu-ray『Radical Action (To Unseat The Hold Of Monkey Mind』(2016年)から。前曲からシームレスにつながるようにイントロがカットされジャッコの"The rusted chains of prison moons"という歌声から始まります。演奏後に拍手が収録されているので"ヴァーチャル・スタジオ・アルバム"と銘打たれたCDの音源ではなく、2015年12月19日高松公演を収録したDVD/Blu-rayの音源だと思われます。おそらく初CD化。

「Groon (Take 6)」

シングル「Cat Food」(1970年)のB面曲の別テイク。この曲は複数のテイクが存在しておりテイク6はボックスセット『Sailor's Tale』(2017年)のBlu-rayが初出。初CD化。

「Cirkus (Live 2017)」

Lizard』(1970年)収録曲のライブ音源。ボックスセット『Sailor's Tale』(2017年)のBlu-rayが初出。本ツアーボックスには2017年シアトル公演だけで録音日が書かれていませんが、ボックスセットによると6月11日録音とのこと。初CD化。

「Formentera Lady (Live 1972)」

『Islands』(1971年)収録曲のライブ音源。1972年3月8日ミルウォーキー公演。『Earthbound』40周年記念盤(2017年)及びボックスセット『Sailor's Tale』(2017年)から。

「Larks' Tongues In Aspic Part I (Live 2016)」

『Larks' Tongues In Aspic』(1972年)収録曲のライブ音源。2016年ウィーン公演でDGM Liveから無料ダウンロードできたもの(現在は有料)。間奏のフルートソロでオーストリアの国歌「Land der Berge, Land am Strome」を吹いています。ウィーン公演は『Live In Vienna』(2017年/2018年)としてCD化されましたが、そちらは2016年12月1日で、この音源は前日の11月30日のものです。初CD化。

「Doctor Diamond (Live 1973)」

ライブでのみ演奏された未発表曲。この曲はボックスセット『The Great Deceiver』(1992年)で初めてオフィシャルCD化されました。本ツアーボックスに収録されているのは1973年6月23日アトランタ公演。『Starless And Bible Black』40周年記念盤(2011年)及びボックスセット『Starless』(2014年)から。

「Red (Live 2016)」

『Red』(1974年)収録曲のライブ音源。2016年12月1日ウィーン公演。『Live In Vienna』(2017年/2018年)から。

「Discipline (Jakko Jakszyk/Gavin Harrison Demo recordings)」

『Discipline』(1981年)収録曲のデモ音源。デモ音源と言っても1981年に正式にレコーディングされる前のデモではありません。何年の録音か書かれていないものの、2017年10月にこの曲が現行編成のライブレパートリーに加わる前に録音されたものと思われます。ギャビン・ハリスンが"drums"、ジャッコ・ジャクスジクが"all other instruments"とクレジットされており、オリジナルではロバート・フリップエイドリアン・ブリューが弾いていた2本のギターと、トニー・レヴィンが弾いていたスティックをジャッコが多重録音で弾いていると思われます(ジャッコはスティックは弾けないと思うのでベースで代用でしょうか?)。ほぼ完コピなのですがこの難曲のギターパートを両方共1人で弾ききってしまうジャッコはすごい。初出。

「Neurotica (Live 2017)」

『Beat』(1982年)収録曲のライブ音源。2017年メキシコ公演から。曲の頭に「one two three, two two three」という声が収録されており、この声は『Islands』(1971年)の隠しトラックとして収録されている音源で、現行編成のライブの冒頭で流れます。2017年メキシコ公演は5日間あり「Neurotica」が1曲目である7月15日か7月18日の録音だと思われます。初出。

発売予定のアルバムとして『Live In Mexico』が予告されています。

「Funky Jam」

1994年4~5月に行われたダブルトリオ期のセッション音源。タイトル通りファンキーなジャムセッションエイドリアン・ブリューがコードを指定して周りがそれに合わせて演奏しています。ブリューのギターカッティングは若干「Thela Hun Ginjeet」っぽい?キング・クリムゾン・コレクターズ・クラブの第8弾としてリリースされた『The VROOOM Sessions』(1999年)から。

「The Errors (Demo)」

2017年からライブで披露されている新曲のデモ音源。この曲は『Live In Chicago』(2017年)で初めてオフィシャルCD化されました。このデモ音源ではジャッコ・ジャクスジクがギターとヴォーカル、トニ・レヴィンがベース、ギャビン・ハリスンがドラムスを演奏しています。クレジットされていませんがメロトロンと思われる音も聴こえます。作曲にはロバート・フリップの名前があるもののデモ音源の録音には参加していません。初出。

「Larks' Tongues In Aspic Part IV (Guitar highlighted)」

『The ConstruKction Of Light』(2000年)収録曲の別ミックス。"ギターが強調された"と説明されていますが、トレイ・ガンのWarr Guitarもベースではなくギターであるため、実質的にパット・マステロットのドラムをオミットしたものと言えます。フルサイズではなく冒頭の3分26秒ほどがカットされており、CDで3トラックに分割されていたうちの1トラック目の最後16秒ほどから始まります。また「Coda: I Have A Dream」の1分45秒ぐらいのギターソロ終わりから20秒ぐらいかけてゆっくりとフェイドアウトしています。7分51秒。初出。

発売予定のアルバムとして『The ConstruKction Of Light』(2000年)の40周年記念盤(CD/DVD)である『The Re-ConstruKction Of Light』とボックスセット『Heaven & Earth』が予告されています。2019年はデビュー50周年の年で『In The Court Of The Crimson King』(1969年)が新たなボックスセットとして発売されると噂されており、もしそれが事実ならボックスセット『Heaven & Earth』は時期が被らないように2018年中に発売されそうです。

Heroes (Radio Edit)」

ロバート・フリップが参加したデヴィッド・ボウイの名曲「Heroes」(1977年)。キング・クリムゾンデヴィッド・ボウイが亡くなった2016年にカバーしており、2016年ベルリン公演のライブ録音がEP『Heroes』(2017年)として発売されました。そのEPに収録されていたラジオエディット(短縮バージョン)です。

「The Deception of the Thrush (Guitar extract)」

ProjeKctとダブルデュオ期に演奏された曲のライブ音源の抜粋バージョン。ProjeKct Twoの1998年3月18日カリフォルニア公演のライブ音源からロバート・フリップのギターとサウンドスケープだけを抜き出したもの。初出。

「A Scarcity of Miracles (Live 2015)」

ジャクスジク、フリップ&コリンズ名義でリリースされた『A Scarcity Of Miracles』(2011年)収録曲のライブ音源。『Live In Vienna』日本盤(2017年)限定ボーナスディスクから。2015年12月9日東京オーチャードホール公演。

「Prelude: Song of the Gulls (Rehearsal Take)」

『Islands』(1971年)収録曲の別テイク。ボックスセット『Sailor's Tale』(2017年)から。タイトルは違いますが「Prelude - Song Of The Gulls (String Section, Take 2)」が同じ音源だと思われます(ボックスセットは未聴)。

「Cadence & Cascade (Jakko Jakszyk vocal)」

『In The Wake Of Poseidon』(1970年)収録曲の別バージョン。オリジナルのゴードン・ハスケルのヴォーカルをジャッコ・ジャクスジクのヴォーカルに差し替えたもの。なぜかメル・コリンズのフルートもオミットされています。オリジナルは4分38秒でしたが本バージョンは5分33秒になっており、オリジナルではフェイドアウトしてしまう演奏を最後まで聴くことができます。ボックスセット『Sailor's Tale』(2017年)のBlu-rayが初出。初CD化。

「Cadence And Cascade」はオリジナルのゴードン・ハスケル、デモのグレッグ・レイク、ボックスセット『Frame By Frame』(1991年)のエイドリアン・ブリューにヴォーカルを差し替えたバージョン、そして本バージョンとスタジオ録音だけでも4人のヴォーカリストに歌われたことになります。ライブ音源を加えるとボズ・バレルが歌ったバージョンもあります。

「Book of Saturday (Alt. take 1973)」

『Larks' Tongues In Aspic』(1972年)収録曲の別テイク。本テイクはロバート・フリップのギターとジョン・ウェットンのヴォーカルのみ(ベースも弾いているとクレジットされていますが音を確認した限りでは弾いていません)。『Larks' Tongues In Aspic』40周年記念盤(2012年)及びボックスセット『Larks' Tongues In Aspic』(2012年)から。

「Dawn Song (Jakko Jakszyk vocal)」

Lizard』(1970年)収録曲の別バージョン。オリジナルのゴードン・ハスケルのヴォーカルをジャッコ・ジャクスジクのヴォーカルに差し替えたもの。ヴォーカルのオーバーダブは2017年に行われたとのこと。初出。

「Interlude (Live 2017)」

現行編成のライブで演奏されているインストゥルメンタルの小品。2017年メキシコ公演から。2017年メキシコ公演は5日間あり、この曲を演奏しているのは7月14日、7月16日、7月18日の3日間。ディスク1の「Neurotica」と合わせて考えると、発売予定の『Live In Mexico』が複数の日を編集したライブアルバムではないとしたら、収録されるのは7月18日ということになります。初出。

「Matte Kudasai (Live 1984)」

『Discipline』(1981年)収録曲のライブ音源。1984年日本公演。ボックスセット『On (And Off) The Road』のDVD/Blu-rayから。もともとはLD『Three Of A Perfect Pair Live In Japan』(1984年)が初出。『Neal And Jack And Me』(2006年)としてDVD化されています。初CD化。

「Spenta's Counter Claim (Live 2016)」

『Live In Vienna』海外盤(2018年)のみに収録されたボーナストラック。現行編成のライブの冒頭でロバート・フリップサウンドスケープにメル・コリンズがフルートをトニー・レヴィンがエレクトリックアップライトベースを重ねます。2016年11月2日アントワープ公演の音源をデヴィッド・シングルトンが編集したもの。

「The Night Watch (extract)」

『Starless And Bible Black』(1974年)収録曲の抜粋バージョン。DGM LiveのMr Stormy's Monday Selectionでダウンロード販売されている音源。2018年2月26日配信。本ツアーボックスのブックレットにはロバート・フリップのギターとジョン・ウェットンのベースしかクレジットされていませんが、デヴィッド・クロスがエレクトリックピアノを弾いています。初CD化。

「Walking on Air (Live 1995)」

『THRAK』収録曲のライブ音源。1995年6月26日サンフランシスコ公演。ボックスセット『THRAK』(2015年)のDVD/Blu-rayに映像で収録されたもの。初CD化。

「Peace (Live 2015)」

『In The Wake Of Poseidon』(1970年)収録曲のライブ音源。ジャッコ・ジャクスジクが1番を日本語で歌っています。『Live In Vienna』日本盤(2017年)限定ボーナスディスクから。2015年12月17日東京オーチャードホール公演。

「Islands (Live 2017)」

『Islands』(1971年)収録曲のライブ音源。2017年6月28日シカゴ公演。『Live In Chicago』(2017年)から。

「Starless (extract from multi-tracks)」

『Red』(1974年)収録曲の抜粋バージョン。DGM LiveのMr Stormy's Monday Selectionでダウンロード販売されている音源。2018年2月12日配信。マルチトラックテープからチェロの音のみを抜き出したもの。チェロを誰が弾いたかは不明らしい。初CD化。

「The Deception of the Thrush (Live 1998)」

ProjeKctとダブルデュオ期に演奏された曲のライブ音源。ProjeKct Fourとしての1998年11月2日サンフランシスコ公演。キング・クリムゾン・コレクターズ・クラブの第7弾としてリリースされた『The Roar Of P4』(1999年)に収録されているのは本音源の前日の11月1日の演奏です。初CD化。

「I Talk to the Wind (duo version 1969)」

『In The Court Of The Crimson King』(1969年)収録曲の別バージョン。ロバート・フリップのギターとイアン・マクドナルドのフルートのみによる演奏。『In The Court Of The Crimson King』40周年記念盤(2009年)から。

6/20(金)エイジア@渋谷公会堂

エイジアの来日公演最終日に行ってきました。

2006年にオリジナル・メンバーで再結成。2007年、2008年、2010年、2012年と来日するも、2012年のXXXツアーを最後にギターのスティーヴ・ハウが脱退。1982年の『ASIA(詠時感)』発売時点では生まれてすらいなかった20代の若手ギタリスト、サム・コールソンを後任に迎えます。『Gravitas(グラヴィタス~荘厳なる刻)』を発表し、今回の来日公演となりました。

エイジアの再結成は、オリジナル・メンバー4人が揃ったことにこそ意味があったので、そういった意味ではスティーヴ・ハウの脱退は残念でした。とはいえサウンド的には噛み合っていない感があったので、ギタリスト変更によってどうサウンドが変化するのか楽しみでした。

前回、2012年の来日公演は『XXX』を発表後初のライブが日本公演、しかも初日に行ったのでセットリストがどうなるのかまったくわからなかったのですが、今回は来日公演の前に英国公演が2日あり、しかも名古屋、大阪に続く東京公演の2日目だったので、どんなセットリストになるのか事前にわかっていました。

ステージ上のセットはいつも通りです。カール・パーマーは青く透き通ったドラムセット。海外公演の写真ではこのドラムセットは見ないので日本に置いてあるものだと思われます。銅鑼があるのがうれしい。ジェフ・ダウンズのキーボードも日本の楽器メーカーが用意したものみたいですね。ジェフがTwitterでこれから4公演で使うキーボードセットだと紹介していました。

座席は9列16番。サム・コールソン側です。2年前の来日公演もスティーヴ・ハウ側だったので似た位置に座った記憶があります。

ASIA
John Wetton (Vocal, Bass, Guitar)
Geoffrey Downes (Keyboards, Chorus)
Carl Palmer (Drums)
Sam Coulson (Guitar)

セットリスト
01. Sole Survivor
02. Wildest Dreams
03. Face On The Bridge
04. Time Again
05. Valkyrie
06. I Know How You Feel (John Wetton & Geoffrey Downes Duo)
07. Voice Of America (Acoustic Version)
08. The Smile Has Left Your Eyes (Parts I & II)
09. An Extraordinary Life
10. Gravitas
11. Bolero (Geoffrey Downes Keyboard Solo)
12. Days Like These
13. Go
14. Don't Cry
15. Drum Solo
16. Only Time Will Tell
17. Open Your Eyes

アンコール
18. Heat Of The Moment

開演予定時刻の19:00にブザーが鳴り、ロビーに居る人は座席に戻ってくださいとアナウンス。19:05頃客殿が落ち、チャイコフスキーの「1812 Overture」が鳴り響きます。クラシック曲なのに大きな音なので、若干音が割れ気味。

メンバーが登場し「Sole Survivor(孤独のサヴァイヴァー)」で幕を開けました。さっそくのコール&レスポンスに会場は盛り上がりますが、お客さんは立ちません。名古屋、大阪は1曲めからオールスタンディングだったのに、東京のお客さんは結局「Don't Cry」か「Drum Solo」あたりまで立ちませんでした。

セットリストは英国初日から「My Own Time」「Guitar Solo」がカットされ、「Bolero」が追加された形になります。名古屋だけ「Bolero」がなかったものの、他の3日間はすべて同じ。2012年の来日公演は日替わりでしたが、2010年の来日公演はセットリスト変化なしだったそうなので、2010年と似た形だったことになります。

そういえば「Sole Survivor」と「Wildest Dreams」の2曲はジョン・ウェットンは帽子をかぶってました。

一時期はジョン・ウェットンといえば、今日は声が出てる/出てないという話が必ずつきまとっていましたが、ここ数年は絶好調で(2011年のU.K.を除く)、今回もすばらしく伸びのある美声を聴かせてくれました。

新譜からは「Valkyrie」「Gravitas」の2曲を演りました。現役バンドとしては新曲をたくさん演ってほしいという気持ちもあるものの、実際問題としてやっぱり『詠時感』の曲のほうがいい曲だし盛り上がります。新譜の曲はインスト部分にプログレ的な展開がないので聴いていてちょっと退屈だというのが正直な感想。

「I Know How You Feel」は2012年と同じく、ジェフ・ダウンズのキーボードをバックにジョン・ウェットンが歌います。「Voice Of America」は2008年の来日公演ではジョン・ウェットンの弾き語りでしたが、今回はジェフ・ダウンズのキーボード、サム・コールソンのアコースティック・ギター、カール・パーマーのハイハットとタンバリン付き。6月20日はブライアン・ウィルソンの誕生日ということで、何か特別なMCが聴けるかと期待していましたが何もありませんでした(^^; 「The Smile Has Left Your Eyes」はウェットンとダウンズのデュオで始まり、後半4人での演奏になるヴァージョン。

ジェフ・ダウンズのキーボード・ソロは初めて聴きました。「Cutting It Fine」の後半部分で、ライブアルバムなどでは「Bolero」とタイトルが付いている曲です。聴き慣れた曲なのでキーボード・ソロでも充分楽しめました。

後半はスティーヴ・ハウがいないので『THEN & NOW』から「Days Like These」や『ASTRA』から「Go」が登場。うれしい選曲ではあるのですが、どちらもオメガ・ツアーでスティーヴ・ハウ入りで演っているのですよね。どうせならもっとセットリストで冒険して欲しかったです。

「Don't Cry」はエレクトリック・バージョン。2007年は4人でアコースティック・バージョン、2010年と2012年はジョン・ウェットンとジェフ・ダウンズのデュオだったので、エレクトリック・バージョンで披露するのは2008年以来となります。とはいえ、2008年の私が行った日は「Don't Cry」を演らなかったのですが。

カール・パーマーのドラムソロはワンパターンで、いつ見ても同じような展開なのですが、それでも盛り上がりますね。音楽的というよりはエンターテイメント的なドラムソロだと思います。

「Only Time Will Tell(時へのロマン)」「Open Your Eyes」で本編終了。アンコールで「Heat Of The Moment」。20:50頃終演でしたので、1:45ほどのステージでした。

肝心のギターがサム・コールソンになってサウンドがどう変化したかですが、すごく演奏がタイトになった印象があります。実際のBPMはそんなに違いないのかもしれませんが、演奏に勢いを感じます。これまではカール・パーマーのはしるリズムと、スティーヴ・ハウのもたるリズムが噛み合っていなかったのかなと思いました。ですが、サム・コールソンはスティーヴ・ハウのフレーズや音色をコピーしないので、脳内で鳴っている音と違和感を感じる場面もありました。

5/30(金)PFM@東京ドームシティホール

イタリアのプログレッシヴ・ロック・バンド、PFM(プレミアータ・フォルネリア・マルコーニ)の6回目の来日公演を観てきました。私がPFMを観るのは初めて。

PFMが来日するのは2011年の「イタリアン・プログレッシヴ・ロック・フェスティヴァル秋の陣2011―夢のまた夢」以来3年ぶり。2011年には夏と秋に二度来日公演を行ったのですが、どちらもフェスティバルの出演者としてで、単独公演となると2006年以来となります。

これまでの来日公演はクラブチッタで行われることが多かったのですが、今回の招聘元はクリエイティブマンです。とはいえストレンジ・デイズの岩本晃市郎が絡んでいるところを見ると、中身はそう違わないのかも。

18:00の開場時間少し前に東京ドームシティホールに到着。マイミクさんにご挨拶をさせていただきながら開場を待ちます。ホール内の最終チェックとやらで若干開場が遅れ、とりあえずロビーのみ開場となります。グッズは興味がなかったのですが、とりあえずロビーに入り、本会場を待ちます。こうやって見るとジェフ・ベックだったりラッシュだったり、みなさん思い思いのロックTシャツを来ていますね。あまりオシャレな方がいないのがプログレのライブっぽいです。

これまで座席数600席のクラブチッタで来日公演を行っていたバンドが、突然座席数2700席の東京ドームシティホールで集客は大丈夫だろうかと思いましたが、案の定第二バルコニーと第三バルコニーは閉めきっていました。第一バルコニーもお客さんがいるのは正面のみで、左右は空席です。一応、アリーナはお客さんがいましたが、自分は前の方だったので全部埋まっていたかは確認してません。仮に全部埋まっていたとすると1000人ぐらいは入ったのでしょうか。

「40th Anniversary Special Concert -Original Album Complete Live-」

PFM
Franz Di Cioccio (Drums, Vocals)
Franco Mussida (Acoustic & Electric Guitar, Vocals)
Patrick Djivas (Electric Bass, Recorder)

Alessandro Scaglione (Keyboards)
Edoardo De Angelis (Violin, Keyboards)
Roberto Gualdi (Drums)

[第1部:Photos Of Ghosts(幻の映像)]
01. Rain Birth (Intro To The River) / 雨の雫
02. River Of Life / 人生は川のようなもの
03. Celebration / セレブレイション
04. Photos Of Ghosts / 幻の映像
05. Old Rain / オールド・レイン
06. Il Banchetto / 晩餐会の三人の客
07. Mr. 9 'Till 5 / ミスター9~5時
08. Promenade The Puzzle / プロムナード・ザ・パズル

[第2部:The World Became The World(甦る世界)]
09. The Mountain / マウンテン
10. Just Look Away / 通りすぎる人々
11. The World Became The World / 甦る世界
12. Four Holes In The Ground / 原始への回帰
13. Is My Face On Straight? / 困惑
14. Have Your Cake And Beat It / 望むものすべては得られない

[第3部:Best Of Rest]
15. Out Of The Roundabout / アウト・オブ・ザ・ラウンドアバウト
16. Universo e Terra (Preludio) / 宇宙と大地(プレリュード)
17. L'infanzia di Maria incluso La Tentazione / マリアの少女時代
18. Il Sogno di Maria / マリアの夢
19. Maestro della Voce / 声のマエストロ

[アンコール]
20. Romeo e Giulietta - Danza dei Cavalieri / ロメオとジュリエット
21. Guglielmo Tell - Overture / ウィリアム・テル序曲

開演時間の19:00を7分ほど過ぎて、なんと岩本晃市郎が登場。変な帽子に燕尾服姿です。「プログレッシヴ・ロックの最高峰を~」などと前口上を述べます。てっきり休憩を挟むかと思ったのですが、「休憩なしです」との宣言も。

いよいよメンバーが登場し演奏が始まります。今回の企画は初日が『幻の映像』『甦る世界(英語盤)』、2日目が『幻想物語』『友よ』『甦る世界(イタリア語盤)』を全曲演奏するというもの。

ほとんどMCを挟まずに淡々と曲を演奏していきます。1曲目が「River Of Life(人生は川のようなもの)」というのは普段のライブでもよくあるパターンみたいですが、2曲目が「Celebration(セレブレイション)」というのは珍しいのでは。これはエイジア『ASIA(詠時間)』を全曲再現したときも、「Heat Of The Moment」が本編ラストではなくて違和感があったのですが、同じですね。

東京ドームシティホールははじめて行ったのですが、とても音響がいい。左のスピーカーの前という音響的にはかなり厳しい位置ながら、すべての音がきちんと分離されて聞こえますし、ドラムやベースの低音もかなり響きます。

それにしてもチョッチョのドラミングはすさまじいです。とても60代後半とは思えない若々しくパワフルなドラミングです。ムッシーダははじめ若干精細を欠いていましたが、それも後半では持ち直します。ジヴァスは安定したベースを聴かせます。それにしても元気なおじいちゃんたちです。

普段はイタリア語で歌っている曲を英語で歌うこと、さらにライブ初演の曲があったりで、PFMのライブを何度も観に行っている人からするとミスが目立った場面もあったみたいですが、個人的にはほとんど気になりませんでした。

期待していた「The Mountain(マウンテン)」の混声合唱団は男4女4の8人。合唱団というにはちょっと規模が小さいですが、声量や音程はきちんとしていて、このスペシャルな企画に華を添えていました。

"Best Of Rest"のコーナーは『Chocolate Kings(チョコレート・キングス)』から「Out Of The Roundabout」、『A.D. 2010 - La buona novella』から3曲、『Suonare suonare(スオナーレ・スオナーレ)』から「Maestro della Voce(歌のマエストロ)」だったようです。

アンコールは、最新作『PFM in Classic』から「Romeo e Giulietta(ロミオとジュリエット)」、そして定番の「Rossini's William Tell Overture(ウィリアム・テル序曲)」でした。チョッチョが明日もお会いしましょうと行ってましたが、残念ながら私は本日しか行けず。

個人的には本編の「Celebration」が盛り上げのないシンプルなバージョンだったので、アンコールでもう一回「E' Festa ~ Se Le Brescion ~ E' Festa」で盛り上げて欲しかった。

それほど期待しないで行ったPFM来日公演でしたが、予想以上に現役度が高いステージで圧倒されました。2006年にプレモーリが抜けてから10年近くになりますが、その間も新作を作りライブを重ねてきた現役バンドなんだとの印象を強く感じました。