キング・クリムゾン2021年来日公演に向けて

いよいよ、11月27日の東京国際フォーラム公演をかわきりにキング・クリムゾンの来日ツアーが始まります。新型コロナウイルスパンデミックで来日ツアーの開催が危ぶまれましたが、幸いにも来日を前にして感染状況が落ち着きました。

キング・クリムゾンは7月20日~9月11日にかけてアメリカツアーを行いました。これが"最後のアメリカツアー"だと言われています。

明確な形でキング・クリムゾンの活動休止や解散がアナウンスされたわけではありませんが、メル・コリンズ、トニー・レヴィン、ジャッコ・ジャクジクがそれぞれインタビューで2022年以降のライブの予定が入っていないことを明言しています。

もちろん2023年以降にライブ活動を再開する可能性はゼロではありませんが、現在ロバート・フリップが75歳であることを考えると、先のことは現時点で断言できません。

つまり11月27日~12月8日にかけて行われる来日ツアーが(トリプルドラム編成の)現行キング・クリムゾンの最後の活動となる可能性が高いわけです。

それでは、来日ツアーのセットリストを予想するために2021年夏のアメリカツアーのセットリストを振り返ってみましょう。

2021年夏のアメリカツアーではトリプルドラムのみの曲やトニー・レヴィンカデンツァ(短い即興演奏)を除くと以下の20曲が演奏されました。

  • 『In The Court Of The Crimson King』(1969年)より
    • 21st Century Schizoid Man
    • Epitaph
    • The Court Of The Crimson King
  • 『In The Wake Of Poseidon』(1970年)より
    • Pictures Of A City
  • Lizard』(1970年)より
    • Cirkus
    • Dawn Song
    • Last Skirmish
  • 『Islands』(1971年)より
    • Islands
  • 『Larks' Tongues In Aspic』(1973年)より
    • Larks' Tongues In Aspic, Part One
    • Larks' Tongues In Aspic, Part Two
  • 『Red』(1974年)より
    • Red
    • One More Red Nightmare
    • Starless
  • 『Discipline』(1981年)より
    • Indiscipline
    • Discipline
  • 『Beat』(1982年)より
    • Neurotica
  • 『The ConstruKction Of Light』(2000年)より
    • The ConstruKction Of Light
  • 『The Power To Believe』(2003年)より
    • Level Five
  • スタジオ録音されていない現行編成の曲
    • Radical Action II
    • Suitable Grounds For The Blues

2019年に行われたヨーロッパツアーと北米ツアーでは合わせて37曲が演奏されたことを考えると大幅なレパートリー減です(2018年の来日ツアーの34曲と比べても14曲のレパートリー減です)。

また1回の公演で演奏する曲数も減り、演奏時間も2時間弱と短くなっています。

なぜレパートリーが減ったのかは明らかにされていません。あくまで私の推測ですが、2020年にライブ活動を休んだために既存のレパートリーを覚え直す必要があったからではないでしょうか。

(ビル・リーフリンのキーボード転向にあたって、彼の病気が伏せられていたことを考えると)もしかしたらメンバーの誰かの体調が優れず長時間のライブが難しくなった可能性も考えられます。

セットリストが大きく変わらないということは、マニアが複数公演に行く意義が減ったと言えます。

逆に言えば「21st Century Schizoid Man」や「Red」といった人気曲が高い頻度で演奏されるため、複数公演に行かなくても代表曲/人気曲が聞ける可能性が高まりました。

(2018年の来日ツアーでは「21st Century Schizoid Man」を演奏したのは15公演中10公演でした。「21st Century Schizoid Man」をやらなかった日のお客さんは消化不良な様子でした)

また2021年夏のアメリカツアーは1stレグと2ndレグに分かれていたのですが、1stレグでは演奏されなかった「Larks' Tongues In Aspic, Part Two」が2ndレグでは演奏されました。

(逆に1stレグで演奏された「Cirkus」と「Suitable Grounds For The Blues」は2ndレグでは演奏されませんでした)

2015年や2018年の来日と同じように日本で数日間リハーサルをするものと思われます。つまりこの20曲以外の曲が来日ツアーで演奏される可能性も十分ににあります。1~3曲程度レパートリーが増えるかもしれません。

チケット代が高額なことや、コロナ禍でライブに行くことに対する周囲の目が厳しいなど、様々な事情があるとは思います。

ですが現編成におけるキング・クリムゾンのライブは今回が最後となる可能性が高いです。もっと言えばキング・クリムゾンとして最後のライブ、ロバート・フリップの最後の来日公演となるかもしれません。

いろいろ厳しい状況だとは思いますが、皆様も後悔のないように来日ツアーに行けるファンはぜひ現行キング・クリムゾンの有終の美を目に焼き付けましょう。