キング・クリムゾン『The Elements 2018 Tour Box』

2018年6月13日のポーランド公演を皮切りに今年もキング・クリムゾンのツアーが始まりました。それに伴って毎年恒例のツアーボックスも発売されました。

キング・クリムゾンは2014年の活動再開以降、毎年ツアーボックスをリリースしています。

アーボックスがどんなものかご存じない方のために簡単に説明すると"キング・クリムゾンの初出、初CD化音源を含む2CDレア音源集"です。

Disc 1

  1. Wind (extract)
  2. The Court of the Crimson King (Instrumental edit section)
  3. The Court of the Crimson King (Live 2015)
  4. Groon (Take 6)
  5. Cirkus (Live 2017)
  6. Formentera Lady (Live 1972)
  7. Larks' Tongues In Aspic Part I (Live 2016)
  8. Doctor Diamond (Live 1973)
  9. Red (Live 2016)
  10. Discipline (Jakko Jakszyk/Gavin Harrison Demo recordings)
  11. Neurotica (Live 2017)
  12. Funky Jam
  13. The Errors (Demo)
  14. Larks' Tongues In Aspic Part IV (Guitar highlighted)
  15. Heroes (Radio Edit)

Disc 2

  1. The Deception of the Thrush (Guitar extract)
  2. A Scarcity of Miracles (Live 2015)
  3. Prelude: Song of the Gulls (Rehearsal Take)
  4. Cadence & Cascade (Jakko Jakszyk vocal)
  5. Book of Saturday (Alt. take 1973)
  6. Dawn Song (Jakko Jakszyk vocal)
  7. Interlude (Live 2017)
  8. Matte Kudasai (Live 1984)
  9. Spenta's Counter Claim (Live 2016)
  10. The Night Watch (extract)
  11. Walking on Air (Live 1995)
  12. Peace (Live 2015)
  13. Islands (Live 2017)
  14. Starless (extract from multi-tracks)
  15. The Deception of the Thrush (Live 1998)
  16. I Talk to the Wind (duo version 1969)

「Wind (extract)」

毎回ツアーボックスは30秒程度のこの抜粋音源から始まります(抜粋箇所は毎回異なる)。『In The Court Of The Crimson King』(1969年)で「21st Century Schizoid Man」のイントロに使われたノイズ音を録音したセッションからの抜粋。クレジットによるとイアン・マクドナルドがパイプ・オルガンを弾いているとのこと。『In The Court Of The Crimson King』40周年記念盤(2009年)に4分31秒の長尺バージョンが収録されています。

「The Court of the Crimson King (Instrumental edit section)」

『In The Court Of The Crimson King』(1969年)収録曲のインストゥルメンタルバージョン。55秒ほどの音源。この曲は1番から4番までありますが1番のみ。イントロは収録されておらず、歌のバッキングのギターから始まり、"The purple piper plays his tune"と歌われる部分でフルートが絡み、サビになるとベースとドラム、メロトロンなどが加わります。演奏は完成版と同じテイクだと思われます。初出。

「The Court of the Crimson King (Live 2015)」

『In The Court Of The Crimson King』(1969年)収録曲のライブ音源。2015年の来日公演を収録した3CD/2DVD/Blu-ray『Radical Action (To Unseat The Hold Of Monkey Mind』(2016年)から。前曲からシームレスにつながるようにイントロがカットされジャッコの"The rusted chains of prison moons"という歌声から始まります。演奏後に拍手が収録されているので"ヴァーチャル・スタジオ・アルバム"と銘打たれたCDの音源ではなく、2015年12月19日高松公演を収録したDVD/Blu-rayの音源だと思われます。おそらく初CD化。

「Groon (Take 6)」

シングル「Cat Food」(1970年)のB面曲の別テイク。この曲は複数のテイクが存在しておりテイク6はボックスセット『Sailor's Tale』(2017年)のBlu-rayが初出。初CD化。

「Cirkus (Live 2017)」

Lizard』(1970年)収録曲のライブ音源。ボックスセット『Sailor's Tale』(2017年)のBlu-rayが初出。本ツアーボックスには2017年シアトル公演だけで録音日が書かれていませんが、ボックスセットによると6月11日録音とのこと。初CD化。

「Formentera Lady (Live 1972)」

『Islands』(1971年)収録曲のライブ音源。1972年3月8日ミルウォーキー公演。『Earthbound』40周年記念盤(2017年)及びボックスセット『Sailor's Tale』(2017年)から。

「Larks' Tongues In Aspic Part I (Live 2016)」

『Larks' Tongues In Aspic』(1972年)収録曲のライブ音源。2016年ウィーン公演でDGM Liveから無料ダウンロードできたもの(現在は有料)。間奏のフルートソロでオーストリアの国歌「Land der Berge, Land am Strome」を吹いています。ウィーン公演は『Live In Vienna』(2017年/2018年)としてCD化されましたが、そちらは2016年12月1日で、この音源は前日の11月30日のものです。初CD化。

「Doctor Diamond (Live 1973)」

ライブでのみ演奏された未発表曲。この曲はボックスセット『The Great Deceiver』(1992年)で初めてオフィシャルCD化されました。本ツアーボックスに収録されているのは1973年6月23日アトランタ公演。『Starless And Bible Black』40周年記念盤(2011年)及びボックスセット『Starless』(2014年)から。

「Red (Live 2016)」

『Red』(1974年)収録曲のライブ音源。2016年12月1日ウィーン公演。『Live In Vienna』(2017年/2018年)から。

「Discipline (Jakko Jakszyk/Gavin Harrison Demo recordings)」

『Discipline』(1981年)収録曲のデモ音源。デモ音源と言っても1981年に正式にレコーディングされる前のデモではありません。何年の録音か書かれていないものの、2017年10月にこの曲が現行編成のライブレパートリーに加わる前に録音されたものと思われます。ギャビン・ハリスンが"drums"、ジャッコ・ジャクスジクが"all other instruments"とクレジットされており、オリジナルではロバート・フリップエイドリアン・ブリューが弾いていた2本のギターと、トニー・レヴィンが弾いていたスティックをジャッコが多重録音で弾いていると思われます(ジャッコはスティックは弾けないと思うのでベースで代用でしょうか?)。ほぼ完コピなのですがこの難曲のギターパートを両方共1人で弾ききってしまうジャッコはすごい。初出。

「Neurotica (Live 2017)」

『Beat』(1982年)収録曲のライブ音源。2017年メキシコ公演から。曲の頭に「one two three, two two three」という声が収録されており、この声は『Islands』(1971年)の隠しトラックとして収録されている音源で、現行編成のライブの冒頭で流れます。2017年メキシコ公演は5日間あり「Neurotica」が1曲目である7月15日か7月18日の録音だと思われます。初出。

発売予定のアルバムとして『Live In Mexico』が予告されています。

「Funky Jam」

1994年4~5月に行われたダブルトリオ期のセッション音源。タイトル通りファンキーなジャムセッションエイドリアン・ブリューがコードを指定して周りがそれに合わせて演奏しています。ブリューのギターカッティングは若干「Thela Hun Ginjeet」っぽい?キング・クリムゾン・コレクターズ・クラブの第8弾としてリリースされた『The VROOOM Sessions』(1999年)から。

「The Errors (Demo)」

2017年からライブで披露されている新曲のデモ音源。この曲は『Live In Chicago』(2017年)で初めてオフィシャルCD化されました。このデモ音源ではジャッコ・ジャクスジクがギターとヴォーカル、トニ・レヴィンがベース、ギャビン・ハリスンがドラムスを演奏しています。クレジットされていませんがメロトロンと思われる音も聴こえます。作曲にはロバート・フリップの名前があるもののデモ音源の録音には参加していません。初出。

「Larks' Tongues In Aspic Part IV (Guitar highlighted)」

『The ConstruKction Of Light』(2000年)収録曲の別ミックス。"ギターが強調された"と説明されていますが、トレイ・ガンのWarr Guitarもベースではなくギターであるため、実質的にパット・マステロットのドラムをオミットしたものと言えます。フルサイズではなく冒頭の3分26秒ほどがカットされており、CDで3トラックに分割されていたうちの1トラック目の最後16秒ほどから始まります。また「Coda: I Have A Dream」の1分45秒ぐらいのギターソロ終わりから20秒ぐらいかけてゆっくりとフェイドアウトしています。7分51秒。初出。

発売予定のアルバムとして『The ConstruKction Of Light』(2000年)の40周年記念盤(CD/DVD)である『The Re-ConstruKction Of Light』とボックスセット『Heaven & Earth』が予告されています。2019年はデビュー50周年の年で『In The Court Of The Crimson King』(1969年)が新たなボックスセットとして発売されると噂されており、もしそれが事実ならボックスセット『Heaven & Earth』は時期が被らないように2018年中に発売されそうです。

Heroes (Radio Edit)」

ロバート・フリップが参加したデヴィッド・ボウイの名曲「Heroes」(1977年)。キング・クリムゾンデヴィッド・ボウイが亡くなった2016年にカバーしており、2016年ベルリン公演のライブ録音がEP『Heroes』(2017年)として発売されました。そのEPに収録されていたラジオエディット(短縮バージョン)です。

「The Deception of the Thrush (Guitar extract)」

ProjeKctとダブルデュオ期に演奏された曲のライブ音源の抜粋バージョン。ProjeKct Twoの1998年3月18日カリフォルニア公演のライブ音源からロバート・フリップのギターとサウンドスケープだけを抜き出したもの。初出。

「A Scarcity of Miracles (Live 2015)」

ジャクスジク、フリップ&コリンズ名義でリリースされた『A Scarcity Of Miracles』(2011年)収録曲のライブ音源。『Live In Vienna』日本盤(2017年)限定ボーナスディスクから。2015年12月9日東京オーチャードホール公演。

「Prelude: Song of the Gulls (Rehearsal Take)」

『Islands』(1971年)収録曲の別テイク。ボックスセット『Sailor's Tale』(2017年)から。タイトルは違いますが「Prelude - Song Of The Gulls (String Section, Take 2)」が同じ音源だと思われます(ボックスセットは未聴)。

「Cadence & Cascade (Jakko Jakszyk vocal)」

『In The Wake Of Poseidon』(1970年)収録曲の別バージョン。オリジナルのゴードン・ハスケルのヴォーカルをジャッコ・ジャクスジクのヴォーカルに差し替えたもの。なぜかメル・コリンズのフルートもオミットされています。オリジナルは4分38秒でしたが本バージョンは5分33秒になっており、オリジナルではフェイドアウトしてしまう演奏を最後まで聴くことができます。ボックスセット『Sailor's Tale』(2017年)のBlu-rayが初出。初CD化。

「Cadence And Cascade」はオリジナルのゴードン・ハスケル、デモのグレッグ・レイク、ボックスセット『Frame By Frame』(1991年)のエイドリアン・ブリューにヴォーカルを差し替えたバージョン、そして本バージョンとスタジオ録音だけでも4人のヴォーカリストに歌われたことになります。ライブ音源を加えるとボズ・バレルが歌ったバージョンもあります。

「Book of Saturday (Alt. take 1973)」

『Larks' Tongues In Aspic』(1972年)収録曲の別テイク。本テイクはロバート・フリップのギターとジョン・ウェットンのヴォーカルのみ(ベースも弾いているとクレジットされていますが音を確認した限りでは弾いていません)。『Larks' Tongues In Aspic』40周年記念盤(2012年)及びボックスセット『Larks' Tongues In Aspic』(2012年)から。

「Dawn Song (Jakko Jakszyk vocal)」

Lizard』(1970年)収録曲の別バージョン。オリジナルのゴードン・ハスケルのヴォーカルをジャッコ・ジャクスジクのヴォーカルに差し替えたもの。ヴォーカルのオーバーダブは2017年に行われたとのこと。初出。

「Interlude (Live 2017)」

現行編成のライブで演奏されているインストゥルメンタルの小品。2017年メキシコ公演から。2017年メキシコ公演は5日間あり、この曲を演奏しているのは7月14日、7月16日、7月18日の3日間。ディスク1の「Neurotica」と合わせて考えると、発売予定の『Live In Mexico』が複数の日を編集したライブアルバムではないとしたら、収録されるのは7月18日ということになります。初出。

「Matte Kudasai (Live 1984)」

『Discipline』(1981年)収録曲のライブ音源。1984年日本公演。ボックスセット『On (And Off) The Road』のDVD/Blu-rayから。もともとはLD『Three Of A Perfect Pair Live In Japan』(1984年)が初出。『Neal And Jack And Me』(2006年)としてDVD化されています。初CD化。

「Spenta's Counter Claim (Live 2016)」

『Live In Vienna』海外盤(2018年)のみに収録されたボーナストラック。現行編成のライブの冒頭でロバート・フリップサウンドスケープにメル・コリンズがフルートをトニー・レヴィンがエレクトリックアップライトベースを重ねます。2016年11月2日アントワープ公演の音源をデヴィッド・シングルトンが編集したもの。

「The Night Watch (extract)」

『Starless And Bible Black』(1974年)収録曲の抜粋バージョン。DGM LiveのMr Stormy's Monday Selectionでダウンロード販売されている音源。2018年2月26日配信。本ツアーボックスのブックレットにはロバート・フリップのギターとジョン・ウェットンのベースしかクレジットされていませんが、デヴィッド・クロスがエレクトリックピアノを弾いています。初CD化。

「Walking on Air (Live 1995)」

『THRAK』収録曲のライブ音源。1995年6月26日サンフランシスコ公演。ボックスセット『THRAK』(2015年)のDVD/Blu-rayに映像で収録されたもの。初CD化。

「Peace (Live 2015)」

『In The Wake Of Poseidon』(1970年)収録曲のライブ音源。ジャッコ・ジャクスジクが1番を日本語で歌っています。『Live In Vienna』日本盤(2017年)限定ボーナスディスクから。2015年12月17日東京オーチャードホール公演。

「Islands (Live 2017)」

『Islands』(1971年)収録曲のライブ音源。2017年6月28日シカゴ公演。『Live In Chicago』(2017年)から。

「Starless (extract from multi-tracks)」

『Red』(1974年)収録曲の抜粋バージョン。DGM LiveのMr Stormy's Monday Selectionでダウンロード販売されている音源。2018年2月12日配信。マルチトラックテープからチェロの音のみを抜き出したもの。チェロを誰が弾いたかは不明らしい。初CD化。

「The Deception of the Thrush (Live 1998)」

ProjeKctとダブルデュオ期に演奏された曲のライブ音源。ProjeKct Fourとしての1998年11月2日サンフランシスコ公演。キング・クリムゾン・コレクターズ・クラブの第7弾としてリリースされた『The Roar Of P4』(1999年)に収録されているのは本音源の前日の11月1日の演奏です。初CD化。

「I Talk to the Wind (duo version 1969)」

『In The Court Of The Crimson King』(1969年)収録曲の別バージョン。ロバート・フリップのギターとイアン・マクドナルドのフルートのみによる演奏。『In The Court Of The Crimson King』40周年記念盤(2009年)から。